君に恋をして

            湯山英之

 

酔いにけり我酔いにけり

何故(なにゆえ)

君が身胸に酔いにけり

 

 

 

床に臥せ

君に看取られ眠りつき

深くなりゆく君を思うと

 

 

 

二戸にて

(め)で惑う君が家

クリスマス・イブ雨夜の月

 

 

 

夜の帳(とばり)光る月明かり

雪の音

静かに抱く貴女の肩を

 

 

 

見惚(と)れたい

君の横顔にいつまでも

恋する君と愛を叶えて

 

 

 

アイシテルヨ

心からのヒトコトが

いつの間にやら習慣になり

 

 

 

髪を梳(と)

君が映る鏡越し

目の合う時の照れ臭さ

 

 

 

偶然に

見知らぬ街でお洒落する

後姿の君にためらい

 

 

 

山深く長い霧の中

何も見えず

車の中に君と二人

 

 

 

恩人の兄と冗談交わしたり

馳せる想いを

逢えぬ君へと

 

 

 

夢の中

君に惚れて恋をした

悲しい目覚めルクニアの花

 

 

 

春のエニシダ

もう一度だけ抱きしめたい

夢の中で愛した君に

 

 

 

つよい雨

夜の古町通り

貴女の事を強く欲す

 

 

 

向日葵に逢えた様な喜びが

風に揺れる

我が恋心

 

 

 

君に似た花屋の娘

伊那日影

手に携えたりんどうの花

 

 

 

雨の空雨の駒ヶ根雨の川

雨に泣き濡れ

君を想う

 

 

 

松本の秋の一日

そよ風に吹かれ想うは

君と歩けば

 

 

 

花香り

花散り乱れ花明かり

花は桜に君何思ふ

 

 

 

君の顔

君のイメージ君の声

ひまわりの花に君を重ねて

 

 

 

柔らかに日差しを浴びて

君と共に

渡良瀬川の風は北へ

 

 

 

もう一度貴方の笑顔が見たいから

夜の古町

電話を握りて

 

 

 

色白の君の身体に触れながら

今の瞬間(とき)

今に感じる

 

 

 

暗闇で光る指先手に取れば

君は呟く

私を見つめて

 

 

 

窓に咲く

桜の花の樹々よりも

そんな君こそ恋しかりけれ

 

 

 

手で覆う

化粧とりし君の顔

俺は素顔のままの君恋し

 

 

 

ウソツキと

言われることは悲しけれ

こんなに好きな愛しい君に

 

 

 

「もう帰るね」

寂しく独り寝転んで

君の温もりにそっと手を置く

 

 

 

「愛してる」

決して言わぬ君だけど

握る指に愛を感じて

 

 

 

何もない今を見つめて

唯一つあるとするなら

君こそすべて

 

 

 

雨上がりの夕刻

手をつなぎ

二人で歩く故郷の道

 

 

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