昼時の対決
湯山英之
お日様さんが「こんにちは」をしている
でも僕は挨拶を返さない
「おーい」って呼んでいる
やっぱり僕は挨拶を返さない
無視を決め込むとお日様さんは窓から攻撃を仕掛けてきた
本を読む僕の手に木漏れ日が揺れている
怒った僕はカーテンを閉めてやった
0対1
ミーンミンミンミン
今度はセミを鳴かせやがった
怒った僕は音楽を掛けてやった
0対2
ムシムシジメジメ
家にはクーラーは無い
堪ったものじゃないから窓を開ける
1対2
間もなく心地よい風を呼んでくれた
勝敗は明らかで僕は外に出た
「こんにちは」
気づくと回りはセピア色になっていた