願い

             湯山英之

 

部屋の窓から望む街は

とても不自然な景色

差し込む朝日は私を照らす

変わらないのは太陽だけ

風は排気ガスの変な香り

この窓を開いても私は安らがない

私は安らぎが欲しい

 

いっそこの街を捨てて

北へ走る汽車に飛び乗り

私は人間の生活に戻りたい

 

 

部屋の窓から見える空は

とても不自然な空色

間もなく満月は私を照らす

変わらないのは満月だけ

星は瞬かずやけに少ない

この窓を開いても私は輝かない

 

いっそこの街を捨てて

北へ走る汽車に飛び乗り

私は人間の生活に戻りたい

 

私はただそれだけを願いたい

inserted by FC2 system