初恋

             湯山英之

 

貴方に恋をしてからは

初めて母を騙したわ

貴方の顔が見たいから

始めて稽古さぼったの

いつか私も恋すると

そう思ってはいたけれど

こんなに早く来るなんて

 

眠りにつくその前に

夢の中でも会えるよう

私は貴方を思い出す

仲睦まじく手を繋ぎ

貴方と共に歩きたい

 

 

 

 

貴方の事が気掛かりで

食事の味も分からない

溜息ばかり吐きはじめ

小さな胸は苦しくて

心はとうに貴方へと

思いを馳せて始めての

恋煩いを知りました

 

眠りにつくその前に

夢の中でも会えるよう

私は貴方を思い出す

仲睦まじく手を繋ぎ

貴方と共に歩きたい

 

 

 

 

山肌近く波高く

夕暮れ近く煮炊き立つ

二人で歩く松並木

貴方の影を踏まぬよう

伝える言葉選び出し

この世に生まれ初めての

セレモニーが始まるの

 

眠りにつくその前に

夢の中でも会えるよう

私は貴方を思い出す

仲睦まじく手を繋ぎ

貴方と共に歩きたい

 

貴方に抱いて欲しいから

守り抜いた純潔を

貴方にそっと託したい

女心は複雑で

悲しみひとつ抱いてた

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