北の旅人
湯山英之
静かな街は昼のひと時
北の港の潮風は冷たくて
水面に輝く陽の光は
私を導くように海を渡す
浜辺の男たちは語らいながら愉しそうにしてる
だけど旅人の私はひとり港を寂しく歩いてる
そんな私に遠くを泳ぐイルカ達は何を思うだろう
船は白い軌跡を描いて函館へ進む
高鳴る汽笛が私の背を押しているから
波間の中に移ろう季節
群れを成したウミネコは賑やかに
貴方と生きた青春の日は
こんなに寂しくは無いのに
貴方を思い出すと涙が流れ今が辛いのよ
だから悲しみを一つ提げて貴方を忘れる旅に出たの
そんな私を遠くで泳ぐイルカ達は何を思うだろう
私は独り悲しみ捨てて海峡を渡る
旅の終わりはこの海の先に見えているから
船は白い軌跡を描いて函館へ進む
高鳴る汽笛が私の背を押しているから